優れた新時代のICTが省エネと二酸化炭素の排出量削減を実現

地球の環境問題はますます深刻化しています。私たちは深刻な環境問題を認識し、二酸化炭素の排出量を抑えるためにシェアバイクや電気自動車を使うようなライフスタイルを選択してきてはいるものの、未だに石油などの再生不能エネルギーにもまだかなり依存している状態です。石油は、地球上にどれだけ残されていて、あとどれくらい持つのでしょうか。保守的な見方をする専門家によれば、残された石油埋蔵量は、今の速度で消費を続ければ、あとわずか30年~40年で尽きてしまうとの予測もあります。そうなれば次のオイルショックは、予想よりもはるかに早く起こりうるのです。世界中の政府と企業は、新しいエネルギーを開発し、第2の石油となるようなエネルギーの探査、生産、利用を促進する社会的責任があるのです。

このような企業のニーズは、もはや従来の技術では対応出来ませんが、インダストリー4.0時代の到来とスマートマニュファクチャリングの台頭は、地球の省エネと二酸化炭素の排出量削減を可能にすると、大きく期待されています。

製造業は伝統産業であり、石油精製、自動車製造、家電製造、電力網、製鉄所、化学プラントなどが含まれます。製造業のICTシステムは、これまでの支援システムという位置付けから、現在は生産システムへと変化しています。スマートマニュファクチャリングは、スマートファクトリー、スマートロジスティクス、スマートサービスで構成され、製造業のデジタル変革における新しい方向性となっています。スマートマニュファクチャリングの導入は、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、IoT、AIなど、優れた新時代のICT技術の支援がなければ成功しません。

シノペックグループ(中国石油化工集団)は、中国最大の総合エネルギー・化学企業です。2017年のフォーチュングローバル500では第3位にランクインしました。2013年、シノペックグループは燕山、茂名、鎮海、九江の各社を試験的スマートファクトリーとして選定し、スマートプラントへの取り組みを開始しました。

ペトロサイバーワークスインフォメーションテクノロジー(Petro-CyberWorks Information Technology Company Limited、PCITC)は、シノペックグループとパシフィックセンチュリーサイバーワークス(電訊盈科有限公司)のジョイントベンチャーであり、試験的スマートファクトリーを構築する請負業者です。PCITCは、スマートファクトリーを実現するためにファーウェイを選択しました。スマートファクトリーでは、ビッグデータ技術と機械学習技術を利用します。こうした技術は、精製・生産情報の収集を容易にすることにより、精製・生産時に化学反応プロセスを効率化し、精製プロセスに必要な原油、燃料、触媒の量を動的に調整するうえで役立ちます。これにより、石油の品質を損なうことなく最小のエネルギー消費で最適な生産性を実現できます。さらに、機器の稼働やO&Mに関する実験的なモデルも設定されます。こうしたモデルにより、機器をリアルタイムで監視し、機器の異常な状態を予測して予防保守を実現するとともに、O&Mコストを削減し、計画外のダウンタイムのリスクを軽減できます。

現在、これら4つの試験的スマートファクトリーからは目覚ましい成果が報告されており、シノペックグループのスマートファクトリー1.0を構成しています。4つの試験的スマートファクトリーでは、高度な制御技術の使用率が90%以上に上昇し、生産データの自動収集率が90%以上に達しており、すべての汚染源が自動的に監視されています。これまでは、生産最適化は少数のプロセスにおいてオフラインモードで実施されていましたが、現在はすべてのプロセスに拡大され、オンライン(インサービス)モードで実施されるようになりました。こうしたすべての改善点により、労働生産性が10%以上上昇し、品質と効率も向上しています。

ICTにより、石油・石油化学業界の企業は具体的な利点が得られ、ROIを最大化できます。主な利点には、生産消費率の改善、石油回収率の向上、運用コストの削減、労働生産性の上昇、機器の長期安定運用などがあります。

ファーウェイのソリューションによるスマートファクトリーの強化

ファーウェイは、業界をリードするグローバルICTソリューションプロバイダーとして、石油・ガス分野で市場実績のあるソリューションのラインナップを提供しています。具体的には、デジタル油田、海底油田用通信、デジタルパイプライン、スマート精製、インテリジェント販売ソリューションなどです。こうしたソリューションは、無線eLTE、IoT、KunLunサーバー、OceanStor 9000ハイエンドストレージシステム、HPC、クラウドデータセンター、パブリッククラウド、クラウド対応企業通信といったファーウェイの幅広い製品に基づいて構築されています。現時点で、ファーウェイは世界上位20の石油・ガス企業の60%にサービスを提供しており、38,000kmを超える石油・ガスパイプライン事業に取り組んでいます。これらのパイプラインは主要なエネルギー産出国/地域の41%を占めています。

シノペックグループのスマートファクトリーイニシアチブでは、ファーウェイはPCITCと提携し、リアルタイム通信とコンピューティング機能に加えてアーキテクチャ全体のセキュリティ機能も提供します。

シノペックグループの子会社であるシノペック九江を例として説明します。シノペック九江は揚子江の北岸、廬山の南にあります。毎年、1,000万トンの原油を処理し、30万トンの合成アンモニア、52万トンの尿素、10万トンのポリプロピレンを生産しています。合計48の生産ユニットを保有し、そのほとんどは業界最高水準の経済的、技術的仕様になっており、業界の類似アプライアンスよりも性能が優れています。

シノペック九江は、大容量の通信容量とマルチメディアトランキングディスパッチシステムのニーズに応えるため、ファーウェイのeLTEブロードバンドトランキングソリューションを採用しました。このソリューションは、ディスパッチシステムを「聞こえる・見える化」し、さらに、このソリューションは有線による伝送が不要なため、投資を大幅に削減します。

シノペック九江はファーウェイのOceanStorハイエンドストレージシステムも選択しました。これにより、O&MやERPなどの基幹業務システムが確実に安定するようになりました。この新しいストレージシステムは、将来の変化に対応できるように設計されているため、データセンターのリソースを集約したり、将来的にクラウドにサービスを移行したりすることができます。当初のストレージシステムでは、拡張性が限定されていたため、このようなことはこれまでは不可能でした。さらに、ファーウェイのハイエンドストレージシステムにより、シノペック九江はEメール、オフィスアプリケーション、ポータルサブシステムを含む統合オフィスオートメーション(Office Automation、OA)プラットフォームを構築できるとともに、データも一元的に保存されます。シノペック九江は、ファーウェイのTE30オールインワンHDビデオ会議エンドポイントシステムを使用することで、職場でのビデオを利用したシフトハンドオーバーに加えて社内外の通信も可能にしています。このため、コミュニケーション効率が大幅に改善されます。TE30ビデオ会議を使用すると、ユーザーは通話によって簡単に会議を開催できます。

シノペック九江は、一連の高度な技術や手法(4G無線ネットワークアプリケーション、IoTベースのスマート倉庫、プロセス全体の統合最適化プラットフォームなど)を採用しました。これらの導入は、すべて精油所では初めてのものです。

急速に近づくスマートファクトリー2.0時代

2017年4月、PCITCとファーウェイはスマートマニュファクチャリングプラットフォームを共同発表しました。これは、両社による戦略的パートナーシップの締結以降、最初の重要なジョイントイノベーションであるだけではなく、シノペックグループにおけるスマートファクトリー2.0の中核でもあります。このプラットフォームには8つの主要機能があります。つまり、集中統合、IoTアクセス、ITの管理と制御、最適化、共有サービス、データの処理と解析、AIです。このプラットフォームは、スマートマニュファクチャリングに対する「ベンチマークOS」になります。また、このスマートマニュファクチャリングプラットフォームは、クラウドコンピューティング、IoT、ビッグデータ、仮想現実(Virtual Reality、VR)、機械学習といった新時代のICT技術も統合しています。プロセス中心の業界で最高水準のスマートマニュファクチャリングプラットフォームになることが期待されています。このプラットフォームの8つの機能には以下のような特徴があります。

  • 集中統合:

    このプラットフォームはスマートファクトリーのデータや情報を集約し、データ資産の集中管理や制御を実現するとともに、アプリケーションシステムとの効果的な統合も可能にします。

  • IoTアクセス:

    このプラットフォームはスマートファクトリーに必要な相互運用が可能でスマートなコンバージド型ユビキタス通信サービスを提供し、幅広いサービスアプリケーション(デジタル倉庫、有害な化学物質の追跡、主要機器の振動と腐食の監視、環境監視など)をサポートします。

  • ITの管理と制御:

    このプラットフォームは、クラウド管理、セキュリティ管理、O&M管理、統合開発を実施し、クラウドノードの集中管理、監視、リソース割り当てを可能にします。

  • 最適化:

    このプラットフォームには、生産プロセス全体の効率化、デバイス操作の容易化、電力効率の向上を可能にする最適化ツールとエンジンが付属しています。

  • 共有サービス:

    このプラットフォームは、ビジネスおよび技術サービスコンポーネントを一元的に管理、制御したり、共有クラウドサービスを提供して統合開発を促進したりします。

  • データの処理と解析:

    このプラットフォームは、ビッグデータの可能性を引き出し、生産例外解析、機器障害診断、製品品質解析を可能にします。

  • AI:

    このAI対応プラットフォームはルール、モデル、知識を画一化するうえで役立ち、ディープラーニングや推論データを使用して石油化学プラント向けの「スマートブレイン」を生み出します。

ファーウェイのスマートマニュファクチャリングソリューションが選ばれる理由

ファーウェイとグローバルパートナー各社は連携して、効率的な管理、アジャイルディスパッチ、オープンアーキテクチャを特徴とするFusionCloudスマートマニュファクチュアリングソリューションを展開しています。このソリューションは生産・製造業界のお客様にとって最適なソリューションであり、産業オートメーション、情報コンバージェンス、サービス中心の製造、柔軟な生産に関するお客様のニーズを満たします。

このソリューションは、ファーウェイが、SAP、アクセンチュア(Accenture)、PCITC、ハリバートン(Halliburton)、ForceCon(力致)といった産業パートナーグループと共同で取り組みを進めた成果です。設計、生産、供給、物流、マーケティングに対応する製造プロセスをエンドツーエンドで管理できるようにすることで、この フルスタッククラウドソリューションにより、クラウドベースでサービス指向のスマートな製造が実現します。ビッグデータの分析とマイニングにより、製造企業は根の深い問題や課題を解決できます。こうしたすべての利点により、インテリジェントな管理と一元的なアーキテクチャを兼ね備えたクラウド対応マニュファクチャリングプラットフォームを構築するための道が開かれます。

私たちが石油を使い果たす日はいずれ訪れます。しかし、クラウドコンピューティング、ビッグデータといった優れた新時代のICT技術は、効率的で環境にやさしい方法でエネルギーを利用し、地球にやさしい新たなエネルギー源の探査を継続するうえで役立ちます。このため、当社はこうした技術が石油化学企業のために積極的な役割を果たせるものと確信しています。

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